最近、ワールドミュージックの音源を聴いてる事が多く、今一番掘りたいジャンルのひとつ。そのきっかけとして五月に刊行された大石始のGLOCAL BEATSというガイド本に影響を受けたってのがあります。
この本は本当に滅茶苦茶面白い!
ワールドミュージックなんてCD屋の片隅に小さく展開されているだけの物好き向けでいつか衰退していく音楽だ。と思ってしまいがちだけど、インターネットの発達以降、世界各地にヒップホップやクラブが伝わり、その土地で伝承的に鳴らされていた音と不思議に融合して、新しいカルチャーが出来ている。今までもクラブミュージックに民族音楽のエッセンスを投入してみました。なんてものは沢山あったけれどももっと根源的に面白いものがカルチャーとして根付いてきている。そうしたものを評論という形よりもあくまでクラブ側から伝える形でこの本は出来上がっているのが面白い。
Sun city GirlsのALAN BISHOPによりワールドミュージック発掘レーベルSUBLIME FREQUENCIESでの音源は、どんなオルタナティブロックよりも今一番オルタナティブの形を提唱しているのではないかと思えるほどの、サイケ感であふれているし、sublimeのOMAR SOULEYMANは中原昌也がよく聴いているCDにもあげていて、bjorkの今度のRemixを担当するそう(その音源のレコーディング風景がyou tubeにあがっているけれど相当やばい。)
またクンビアなどが今までの土着的な支持という形よりもDJ側に踊れる音源として発見されることで、ダブステップやクリック/ミニマルなどを通過した最先端のベースミュージックにクンビアのリズムを取り入れてみようなんて流れも起こって、デジタルクンビアなるものが出来たことも紹介されている。デジタルクンビアの代表的なレーベルであるZZKのchancha via ciruitoの音源をDJ shhhhhは「ホセララルベ、というフォークロレのおっさんの曲にキックを足しただけなのに、ダブステップ以降の音、テクノ以降の最新の音をちゃんとやっている」と評していますが、従来の民族的なリズムと新しいリズムが不思議に融合しちゃってる例が見れるのではないでしょうか。物凄くワクワクします。
この本は第三世界の人々が感じる軋轢を表現する手だてとしての音楽、レベルミュージック的な要素も紹介されていて、その国々の社会情勢までも紹介されてる。クンビアだって元々奴隷のリズムで、でもなぜこんなにハッピーに踊れるのか。密林でとれたリズムは面白くて、そしてメロディーはサイケ感であふれている。見た事がないものが見たい、聴いた事がないものが聴きたい、知らなかったことが知りたいという気持ちをすごく揺さぶられるようなそんな本でした。ということでここ最近は西新宿のレコード屋のLos Aposon?でエキゾものとして紹介されるものを視聴したり、大阪のNewtone recordsでの辺境、エキゾものを視聴していたりする日々です